マンジャロを含む GLP-1 受容体作動薬では、頻度は高くないものの急性膵炎が重大な副作用として報告されています。命に関わる可能性があるため、早期発見と速やかな受診が極めて重要です。本記事では、急性膵炎の症状・受診タイミング・予防のための知識を整理します。
この記事でわかること:
- 急性膵炎の典型症状と緊急受診の判断基準
- マンジャロ使用中の発生リスク
- リスクを上げる要因
- 予防のための生活習慣
急性膵炎とは

急性膵炎は、消化酵素を分泌する膵臓に炎症が起きる疾患で、強い腹痛が特徴です。重症化すると多臓器不全を起こす可能性がある重篤な疾患で、入院加療が必要となることが一般的です。
マンジャロを含む GLP-1 受容体作動薬では、頻度は高くないものの急性膵炎の報告があるため、添付文書に注意喚起が記載されています。
急性膵炎の典型症状

主症状
- 強い上腹部痛(みぞおち〜左上腹部)
- 背中への放散痛
- 嘔吐を伴う
- 食事で痛みが悪化することが多い
- 仰向けで寝ると痛みが増し、前かがみで楽になる傾向
その他の症状
- 発熱
- 頻脈
- 冷汗
- 食欲消失
緊急受診の判断基準

以下のいずれかに該当する場合は、マンジャロの使用を中止し、直ちに医療機関を受診してください。夜間・休日でも救急受診をためらわないでください。
- 持続する強い腹痛(特に上腹部・背中への放散)
- 嘔吐を伴う腹痛
- 発熱を伴う腹痛
- 痛みで動けないほどの強さ
- 食事後・水分摂取後の悪化
急性膵炎は時間との勝負です。「様子を見る」のではなく、早期受診が重要です。
急性膵炎のリスクを上げる要因
以下の要因がある方は、急性膵炎のリスクが上がる可能性があるため、マンジャロ使用前に処方医に必ず申告してください。
- 急性膵炎の既往
- 慢性膵炎
- 胆石症・胆嚢疾患
- 過剰なアルコール摂取の習慣
- 高トリグリセリド血症
- 膵がんの家族歴
急性膵炎の既往がある方の使用
添付文書では、急性膵炎の既往がある方は慎重投与または使用を避ける対象として記載されています。マンジャロ使用前に必ず申告してください。
予防のための生活習慣
- 過剰なアルコール摂取を避ける(マンジャロ使用中の飲酒参照)
- 高脂質・高糖質食を控える
- 胆石症がある場合は治療を優先
- 体調不良時は早めに処方医に連絡
胆嚢炎・胆石症との関連
マンジャロでは胆嚢炎・胆石症も副作用として報告されています。右上腹部痛・発熱・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)があれば、胆嚢系の問題も含めて医療機関で評価を受けてください。
受診時に伝えるべき情報
急性膵炎が疑われて受診する際は、以下を医師に明確に伝えてください。
- マンジャロを使用していること(用量・最終投与日)
- 症状の発症時期・持続時間
- 痛みの強さ・部位・放散の有無
- 嘔吐・発熱の有無
- 食事との関連
- 飲酒歴・既往症
診断後の対応
急性膵炎と診断された場合、マンジャロの使用は中止される一般的です。再開可否は治癒後の医師判断によります。詳細はマンジャロ全般の副作用情報(マンジャロの主な副作用と対処法)もご覧ください。
よくある質問
Q. 軽い腹痛なら様子を見ても大丈夫?
軽度で食事と関係ない腹痛は様子を見て差し支えない場合もあります。ただし強い・持続する・嘔吐や発熱を伴う場合は、迷わず受診してください。
Q. 急性膵炎は治りますか?
多くの場合、入院加療で改善します。ただし重症化すると多臓器不全を起こすこともあるため、早期受診が予後に直結します。
Q. 急性膵炎を経験したらマンジャロは二度と使えませんか?
添付文書上は急性膵炎の既往がある場合、再使用は慎重判断となります。再開の可否は処方医の判断によります。
まとめ
マンジャロでは頻度は高くないものの急性膵炎が重大な副作用として報告されています。持続する強い上腹部痛(背中に放散)・嘔吐を伴う腹痛・発熱を伴う腹痛があれば、自己判断せず直ちに医療機関を受診してください。
マンジャロ使用前は、膵炎・胆石症・大量飲酒の有無を必ず処方医に申告してください。
膵炎の発症リスクデータ
GLP-1受容体作動薬全体での急性膵炎の発生頻度は、臨床試験データにおいて0.1〜0.3%程度と報告されています。マンジャロの国内臨床試験(SURPASS-J試験シリーズ)でも、急性膵炎の発生は少数例の報告にとどまっています。
ただし、頻度が低いからといってリスクが無視できるわけではありません。急性膵炎は重症化した場合、致死率が高い疾患であるため、添付文書では重大な副作用として注意喚起されています。
特に以下の条件に該当する方は、リスクが高まる可能性があるとされています。
- 膵炎の既往がある方
- 胆石症を有する方
- 習慣的に大量飲酒をされる方
- 高トリグリセリド血症の方(特にTG値500mg/dL以上)
急性膵炎の重症度分類
| 重症度 | 主な所見 | 一般的な経過 |
|---|---|---|
| 軽症 | 腹痛・嘔吐、臓器不全なし | 絶食・輸液で数日〜1週間程度で改善することが多い |
| 中等症 | 一過性の臓器障害(48時間以内に改善) | 集中治療が必要となる場合がある |
| 重症 | 持続する臓器不全(48時間以上) | ICU管理が必要、死亡率が上昇する可能性がある |
重症急性膵炎の死亡率は報告により異なりますが、10〜30%程度とされており、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。
アミラーゼ・リパーゼ検査について
急性膵炎の診断には、血液検査で血清アミラーゼおよび血清リパーゼの値を確認することが一般的です。
- アミラーゼ:膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素で、基準値の3倍以上の上昇が急性膵炎を示唆するとされています
- リパーゼ:膵臓に特異性が高く、アミラーゼよりも診断精度が高いとされています。基準値の3倍以上で膵炎が強く疑われます
なお、GLP-1受容体作動薬の使用中は、膵炎を伴わない軽度のアミラーゼ・リパーゼ上昇が見られることもあると報告されています。数値の解釈は必ず医師が行います。
予防のための追加注意点
- マンジャロ使用開始後は、定期的な血液検査(アミラーゼ・リパーゼを含む)を受けることが望ましいとされています
- 腹痛が食後に繰り返し起こる場合は、膵炎に限らず胆石症の可能性もあるため早めに受診してください
- 中性脂肪(トリグリセリド)が高い方は、脂質管理を並行して行うことが膵炎予防につながる可能性があります
- アルコール摂取は膵炎の最大のリスク因子の一つとされています。マンジャロ使用中は節酒または禁酒が推奨されます
Q. マンジャロ使用前に膵臓の検査を受けるべきですか?
膵炎の既往やリスク因子がある方は、使用開始前にアミラーゼ・リパーゼの基準値を確認しておくことが推奨される場合があります。処方医にご相談ください。
Q. 膵炎が治った後にマンジャロ以外のGLP-1薬に切り替えることはできますか?
GLP-1受容体作動薬全般で急性膵炎のリスクが報告されているため、同クラスの薬剤への切り替えは慎重な判断が必要とされています。代替治療の選択肢については処方医と十分にご相談ください。