マンジャロ(一般名:チルゼパチド)とサクセンダ(一般名:リラグルチド)は、どちらもインクレチン系と呼ばれるホルモンに作用する注射薬です。近年、体重管理や2型糖尿病治療の選択肢として注目を集めていますが、成分・投与頻度・国内での承認状況はそれぞれ大きく異なります。この記事では両薬の違いを客観的なデータをもとに整理し、治療選択の参考となる情報を提供します。

この記事でわかること

  • マンジャロとサクセンダの成分・分類の違い
  • それぞれの作用機序
  • 日本国内での承認・使用状況
  • 臨床試験に基づく体重減少効果の比較
  • 投与頻度・副作用・費用の目安

基本情報比較

まず、両薬の基本プロフィールを表で確認します。

項目サクセンダマンジャロ
一般名リラグルチドチルゼパチド
分類GLP-1受容体作動薬GIP/GLP-1受容体作動薬(デュアルアゴニスト)
投与方法皮下注射・1日1回皮下注射・週1回
製造販売元ノボ ノルディスクイーライリリー
国内承認(糖尿病)あり(2型糖尿病)あり(2型糖尿病)
国内承認(肥満症)なしあり(2024年承認)

※承認状況は2024年時点の情報です。最新の承認状況は厚生労働省または各医薬品添付文書をご確認ください。

マンジャロについてのより詳しい基本情報はマンジャロとは?成分・効果・使い方を解説をご覧ください。

マンジャロとサクセンダの比較イメージ

作用機序の違い

サクセンダの成分であるリラグルチドは、消化管から分泌されるホルモン「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」と構造が類似した薬剤です。GLP-1受容体に作用することで、食後の血糖上昇に応じたインスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制、胃排泄遅延、そして食欲抑制などの効果をもたらします。

一方、マンジャロの成分であるチルゼパチドは、GLP-1受容体に加えてGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体にも作用する「デュアルアゴニスト」です。GIPはもともと脂肪組織への作用も持つホルモンであり、GLP-1受容体作動薬とは異なる経路も同時に刺激します。この二重作用が、チルゼパチドの特徴的な薬理プロフィールを生んでいます。

なお、作用機序の詳細な比較についてはマンジャロとGLP-1薬の違いもあわせてご参照ください。

国内承認状況の違い

サクセンダは国内未承認。日本では入手経路に重大な制限とリスクがある。 REGULATORY STATUS マンジャロ チルゼパチド 国内承認 2型糖尿病で承認 ・週1回 注射 ・保険診療で処方可 ・副作用救済制度の対象 サクセンダ リラグルチド 国内未承認 海外で肥満症承認 ・1日1回 注射 ・個人輸入・未承認薬扱い ・副作用救済制度の対象外 国内承認状況 ─ サクセンダは2026年現在、国内未承認
図1サクセンダは国内未承認。日本では入手経路に重大な制限とリスクがある。

日本での承認状況は、両薬で大きく異なります。

サクセンダ(リラグルチド)は、日本国内では2型糖尿病治療薬として承認されています。一方、欧米で「肥満症治療薬」として承認されているビクトーザ3mg製剤(サクセンダ)については、2024年時点で日本の肥満症適応は未承認です。このため、日本でサクセンダを肥満症に使用することは適応外使用となり、自由診療クリニック等での処方が行われているケースがありますが、保険適用はありません。

マンジャロ(チルゼパチド)は、2型糖尿病治療薬として日本で承認されているほか、2024年には肥満症治療薬としても国内承認を取得しました。一定の条件を満たした肥満症患者においては保険診療で使用できる場合があります(処方条件については担当医師にご確認ください)。

いずれの薬剤も、必ず医師の診断・処方のもとで使用することが必要です。個人輸入や無認可のルートでの入手は健康上のリスクがあり、推奨されません。

体重減少効果の比較

体重減少効果については、それぞれ大規模な臨床試験の結果が報告されています。

サクセンダ(リラグルチド3mg)— SCALE試験
SCALE肥満症試験(非糖尿病の肥満患者対象)では、リラグルチド3mgを56週間投与した群で平均約8〜9%の体重減少が報告されています。プラセボ群と比較して有意な差が認められました。

マンジャロ(チルゼパチド)— SURMOUNT-1試験
SURMOUNT-1試験(非糖尿病の肥満・過体重患者対象)では、チルゼパチド15mg投与群で72週時点の平均体重減少率が約20.9%と報告されており、プラセボ群の約3.1%と比べて大きな差が示されました。5mg群および10mg群でも、それぞれ約15%・約19.5%の減少が報告されています。

ただし、これらはあくまで臨床試験における集団データであり、個人差があります。実際の効果は食事・運動習慣、体質、併存疾患、投与量などによって異なります。臨床試験の結果がそのまま個々の患者に当てはまるわけではない点にご注意ください。

オゼンピック(セマグルチド)との比較についてはマンジャロとオゼンピックの違いもご参照ください。

投与頻度・利便性の比較

日常生活への影響という観点では、投与頻度が大きなポイントになります。

サクセンダは1日1回の注射が必要です。毎日同じ時間帯に注射する習慣が求められるため、生活リズムへの組み込みが重要になります。注射部位は腹部・太もも・上腕のいずれかで、毎回部位をローテーションして使用します。

マンジャロは週に1回の注射です。曜日を決めて週1回注射するだけで済むため、注射の負担感が少ないと感じる患者も多いとされています。ただし、週1回であっても自己注射の手技を正しく習得することが安全使用の前提です。

どちらが「使いやすいか」は個人のライフスタイルによって異なりますが、注射頻度の少なさという点ではマンジャロに利便性があるといえます。

副作用の比較

両薬に共通する主な副作用は消化器症状です。以下の表で比較します。

副作用サクセンダ(リラグルチド)マンジャロ(チルゼパチド)
悪心・吐き気比較的頻度高い(特に導入期)比較的頻度高い(特に増量期)
嘔吐報告あり報告あり
下痢報告あり報告あり
便秘報告あり報告あり
低血糖単独使用では少ない単独使用では少ない
注射部位反応報告あり報告あり
心拍数増加報告あり報告あり

消化器系の副作用は、投与開始時や増量時に出やすい傾向があります。少量から開始して段階的に増量するアプローチ(用量漸増)によって副作用を軽減できる場合があります。副作用が強い場合は必ず担当医師に相談してください。自己判断で投与量を変更することは避けてください。

また、膵炎・胆嚢疾患・甲状腺C細胞腫瘍(動物実験での知見)などのリスクについても、添付文書および医師の説明をよく確認することが重要です。

費用の目安

費用は処方形態(保険診療か自由診療か)・クリニック・投与量によって大きく異なります。以下はあくまで参考値です。

サクセンダ:肥満症への保険適用がないため、自由診療での処方が多く、月額目安は数万円程度となるケースが見られます(クリニックにより大きく異なります)。

マンジャロ:2型糖尿病の適応で保険処方される場合と、自由診療で処方される場合があります。保険診療の場合は自己負担割合により費用が異なります。自由診療の場合は月額2〜5万円程度を目安として提示するクリニックもありますが、投与量・クリニックにより幅があります。

費用の詳細は必ず受診するクリニックにお問い合わせのうえ、見積もりを確認してください。

よくある質問(FAQ)

マンジャロとサクセンダ、どちらが効果が高いですか?

臨床試験のデータを比較すると、チルゼパチド(マンジャロ)の方がより大きな平均体重減少率が報告されています。ただし、臨床試験の集団データは個人の効果を保証するものではありません。どちらが自分に適しているかは、体質・既往歴・生活環境なども考慮して医師と相談のうえで決定することが重要です。

サクセンダは日本で保険適用されますか?

2024年時点では、サクセンダ(リラグルチド3mg製剤)の肥満症適応は日本未承認のため、肥満症治療目的での保険適用はありません。2型糖尿病への適応での保険処方は別途要件があります。最新情報は医師またはクリニックにご確認ください。

週1回と毎日、副作用の出やすさに違いはありますか?

両薬とも投与開始時や増量時に消化器系副作用が出やすい傾向があります。投与頻度の違いが副作用の出やすさに直接影響するかは個人差があり、一概には言えません。副作用が辛い場合は自己判断で中止せず、必ず担当医に相談してください。

妊娠中・授乳中に使用できますか?

両薬とも、妊娠中・妊娠を計画している方・授乳中の方への使用は原則として推奨されていません。妊娠の可能性がある場合は必ず医師に申告し、使用可否を判断してもらってください。

まとめ

マンジャロ(チルゼパチド)とサクセンダ(リラグルチド)の主な違いは以下のとおりです。

  • 作用機序:サクセンダはGLP-1単独作用、マンジャロはGIP+GLP-1のデュアル作用
  • 投与頻度:サクセンダは1日1回、マンジャロは週1回
  • 国内承認(肥満症):サクセンダは未承認、マンジャロは2024年承認済み
  • 体重減少効果(臨床試験データ):マンジャロの方が大きな平均減少率が報告されている
  • 副作用:両薬とも消化器症状が主であり、プロフィールは類似

どちらの薬剤も医師の処方・管理のもとで使用するものです。自己判断での使用・増量・中止は避け、気になる症状があれば必ず担当医に相談してください。

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