マンジャロとオゼンピックは、いずれも糖尿病領域で使われる注射薬として知られていますが、作用機序・国内での承認状況・投与方法・臨床試験で示された効果データには明確な違いがあります。本記事では添付文書および公開された臨床試験データをもとに、両者の差を客観的に整理します。
この記事でわかること:
- マンジャロとオゼンピックの作用機序の違い
- 日本国内での承認状況の違い
- 投与方法と用量の違い
- 臨床試験で報告された効果データの違い
- 副作用プロファイルの違い
結論:マンジャロとオゼンピックの主要な違い

| 項目 | マンジャロ | オゼンピック |
|---|---|---|
| 一般名 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 製造販売 | 日本イーライリリー | ノボ ノルディスク ファーマ |
| 作用機序 | GIP/GLP-1 受容体デュアル作動 | GLP-1 受容体作動 |
| 国内承認効能 | 2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
| 投与頻度 | 週1回 皮下注射 | 週1回 皮下注射 |
| 用量 | 2.5/5/7.5/10/12.5/15mg | 0.25/0.5/1.0/2.0mg |
作用機序の違い

マンジャロは GLP-1 受容体に加えてGIP 受容体にも作用する「デュアル作動薬」です。一方オゼンピックは GLP-1 受容体のみに作用します。GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド)への作用が、エネルギー代謝や食欲調節に与える影響については研究が進められています。
作用機序が異なるため、効果プロファイル・副作用プロファイル・適応症において差が出ることがあります。詳しい仕組みはマンジャロとは?作用機序と承認状況をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
国内での承認状況の違い

2026年現在、日本国内ではマンジャロもオゼンピックも2型糖尿病の効能で承認されています。肥満症・ダイエット目的での使用は、いずれも承認の範囲外(適応外使用)であり、保険適用外の自由診療として処方されます。
なお、セマグルチド成分は別製品「ウゴービ」として日本国内で肥満症の効能で承認されています。チルゼパチド成分の肥満症適応(米国名 Zepbound)は日本では別の承認手続きが必要です。
投与方法・剤形の違い
マンジャロ
- 剤形:マンジャロ皮下注(アテオス/KwikPen)
- 用量:2.5mg から開始し、4週間ごとに段階的に増量(最大15mg)
- 使い勝手:アテオスは針の付け替え不要のシングルユース型
オゼンピック
- 剤形:オゼンピック皮下注(SD・FlexTouch)
- 用量:0.25mg から開始、段階的に増量(最大2.0mg)
- 使い勝手:注射前に針の装着・用量設定が必要
使い勝手の違いから、注射操作に不安がある方はアテオス型(マンジャロ)を選好する場合もあります。最終的な薬剤選択は医師が患者の状態を踏まえて行います。
副作用プロファイルの違い
両薬ともに消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・便秘・食欲減退)が最も多い副作用として報告されています。投与開始から数週間にかけて多く、用量を漸増する過程で軽減することが多いとされています(添付文書)。
重大な副作用として、両薬ともに急性膵炎・低血糖(併用薬による)・胆嚢炎・胆石症・急性腎障害・過敏症などが報告されています。詳細はマンジャロの主な副作用と対処法をご覧ください。
治療選択における考え方
「どちらが優れているか」を一般論で結論づけることはできません。治療選択は以下のような要素を踏まえて医師が判断します。
- 患者の病態(HbA1c、合併症の有無、併用薬)
- 過去の薬剤への反応・副作用歴
- 用量設計と費用負担
- 注射操作の好み
当サイトの提携医療機関「おうちでクリニック」では、患者ごとの背景を踏まえて治療選択肢を提示しています。
よくある質問
Q. マンジャロとオゼンピックを併用できますか?
同じ作用カテゴリ(GLP-1 関連)の薬剤であり、原則として併用は推奨されません。切り替えや切替時期は処方医にご相談ください。
Q. ダイエット目的でどちらを選ぶべきですか?
いずれも肥満症・ダイエット目的での処方は適応外使用に該当し、自由診療となります。効果・副作用・費用・通院条件などを踏まえて、医師の診察にもとづき判断してください。
Q. オゼンピックからマンジャロに切り替えできますか?
切替自体は医師の判断で可能です。投与間隔、用量設計、副作用歴等を考慮した処方計画が必要なため、必ず医療機関で相談してください。
まとめ
マンジャロとオゼンピックは、いずれも GLP-1 関連の週1回注射薬で、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されています。作用機序(デュアル vs 単独)・剤形・用量設計などに違いがあり、肥満治療目的での使用は両薬とも適応外(自由診療)に該当します。
治療を検討される方は、必ず医師の診察を受けたうえで判断してください。当サイトの提携医療機関「おうちでクリニック」のオンライン診療もご利用いただけます。
作用機序の違い:GIP+GLP-1 vs GLP-1単独
マンジャロとオゼンピックの最大の違いは、作用するインクレチン受容体の数にあります。
マンジャロ(チルゼパチド):GIP/GLP-1デュアル作動薬
- GLP-1受容体への作用:食欲抑制・胃排出遅延・血糖依存性インスリン分泌促進
- GIP受容体への作用:脂肪組織でのエネルギー代謝調節・インスリン感受性の改善に関与する可能性があるとされています
- 2つの受容体に同時に作用することで、血糖コントロールと体重減少の両面で相乗的な効果が期待されると考えられています
オゼンピック(セマグルチド):GLP-1単独作動薬
- GLP-1受容体にのみ作用し、食欲抑制・胃排出遅延・血糖依存性インスリン分泌促進をもたらします
- GLP-1受容体への親和性が高く、半減期が長いことが特徴とされています
SURPASS-2試験:マンジャロ vs セマグルチド直接比較データ
SURPASS-2は、メトホルミン併用下の2型糖尿病患者を対象に、マンジャロ(5mg/10mg/15mg)とセマグルチド1mgを直接比較した第III相臨床試験です。
| 評価項目 | マンジャロ5mg | マンジャロ10mg | マンジャロ15mg | セマグルチド1mg |
|---|---|---|---|---|
| HbA1c低下幅 | −2.01% | −2.24% | −2.30% | −1.86% |
| 体重変化 | −7.6kg | −9.3kg | −11.2kg | −5.7kg |
| HbA1c 7%未満達成率 | 82% | 86% | 86% | 79% |
※40週時点のデータ。SURPASS-2試験(NEJM 2021)より。結果は試験条件下のものであり、実臨床での効果を保証するものではありません。
この試験では、マンジャロの全用量群がセマグルチド1mg群に対してHbA1c低下・体重減少ともに統計学的に優越性を示したと報告されています。ただし、セマグルチドの最大用量(2.0mg)との比較は行われていない点に留意が必要です。
副作用比較
| 副作用 | マンジャロ | オゼンピック |
|---|---|---|
| 悪心 | 臨床試験で12〜18%程度 | 臨床試験で15〜20%程度 |
| 下痢 | 臨床試験で12〜17%程度 | 臨床試験で8〜10%程度 |
| 便秘 | 臨床試験で6〜8%程度 | 臨床試験で5〜6%程度 |
| 食欲減退 | 臨床試験で5〜9%程度 | 臨床試験で6〜9%程度 |
| 注射部位反応 | 報告あり | 報告あり |
| 急性膵炎 | まれに報告 | まれに報告 |
※副作用の発生率は臨床試験の条件・用量により異なります。上記は概算値であり、添付文書の最新情報をご確認ください。
適応症の違いと今後の展開
2026年現在の日本国内での承認状況と、今後の展開について整理します。
- マンジャロ(チルゼパチド):日本では2型糖尿病で承認。米国ではZepboundとして肥満症でも承認済み。日本での肥満症適応は申請・審査の動向に注目が集まっています
- オゼンピック(セマグルチド):日本では2型糖尿病で承認。同成分の別製品「ウゴービ」が肥満症で国内承認済み
- 心血管アウトカム:セマグルチドはSELECT試験で心血管イベント抑制効果が示されています。チルゼパチドについてはSURPASS-CVOT試験が進行中とされています
肥満症治療としてGLP-1関連薬を検討される場合、適応症・保険適用の違いを踏まえたうえで、医師にご相談ください。
Q. マンジャロのほうがオゼンピックより「効く」のですか?
SURPASS-2試験ではマンジャロがHbA1c低下・体重減少ともに優越性を示しましたが、試験条件(セマグルチドは最大用量でない等)や患者背景により結果は異なる可能性があります。「どちらが優れているか」は一概には言えず、個々の病態に応じた医師の判断が重要です。
Q. 費用はどちらが安いですか?
保険適用(2型糖尿病治療)の場合、薬価は用量により異なりますが、いずれも3割負担で月額数千円〜1万円台程度とされています。自由診療の場合はクリニックごとに価格設定が異なるため、事前に確認されることを推奨します。費用の詳細はマンジャロの1ヶ月の費用もご参照ください。